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第4章 正しい使い方の心構え
PIVOT-SR
第4章 正しい使い方の心構え ~AIを賢く、安全に使いこなすために~
◆ はじめに
AIはとても便利な道具ですが、
「使い方を間違えると大きなリスクがある」ことは、これまでの章で学んできました。
つまり、AIを使いこなすためには「正しい使い方の心構え」が不可欠です。
この章では、
- AIを使うときの基本姿勢
- 正しい質問の仕方(プロンプトの工夫)
- 答えのチェック方法
を具体的に学び、安全に使いこなす力を身につけましょう。
◆ 1. AIを使う時の基本姿勢
AIを使うときの基本的な考え方は、とてもシンプルです。
- 「AIは答えをくれる“相談相手”くらいに考える」
- 「最終判断は必ず自分が行う」
AIは、確かに優れたアイデアや文章を作ってくれることがあります。
しかし、正しさの保証はないので、最終的に「その答えを使うかどうか」を判断するのは自分自身です。
たとえるなら、AIは「とても物知りだけど、ウソも混ざるかもしれないアシスタント」。
「最後は自分が責任を持つ」という意識を常に持ちましょう。
◆ 2. 質問(プロンプト)の工夫
AIは、質問の仕方(プロンプト)次第で答えの質が大きく変わる道具です。
正しい質問をしなければ、期待外れの答えしか返ってきません。
ここでは質問のコツを、一般的な例と人事業務の例に分けてご紹介します。
【一般的な質問のコツ】
◎ コツ① 背景や目的を伝える
- NG例:「文章を考えて」
-
OK例:「新入社員研修で配布する資料に使いたい文章を作成してください。
テーマは「ビジネスマナー」です。
【背景】
新入社員は社会人としての第一歩を踏み出す段階であり、基本的なビジネスマナーを理解することが信頼や円滑なコミュニケーションにつながります。
【目的】
資料を通じて「なぜビジネスマナーが重要なのか」を理解してもらい、前向きな姿勢で身につけようと思ってもらうこと。
【条件】
- 文字数は300文字以内
- 難しい言葉は避け、誰にでも分かりやすい表現にする
- 新入社員が安心感を持てるように、ポジティブで励ましのあるトーンで書く
【依頼内容】
上記を踏まえて、前向きな印象を与える文章を作ってください。」
◎ コツ② 条件や視点を具体的に指定する
- NG例:「おすすめの本を教えて」
- OK例:「新しくチームリーダーになった人が最初に読むのに適した、初心者向けのビジネス書を3冊紹介してください。読みやすさと実践的な内容を重視し、それぞれの本がどんな人に向いているかも一言添えてください」
◎ コツ③ 回答形式を指定する
- NG例:「マーケティング戦略について教えて」
-
OK例:「中小企業が実践できるマーケティング戦略を、箇条書きで5つ教えてください。
それぞれに簡単な説明を1行ずつ添えてください」
【人事業務での質問例】
◎ 例① 求人票の文案作成
新卒向け営業職の求人票に掲載する文案を作成してください。
【背景】
学生にとって「初めての就職活動」であり、仕事内容や魅力をわかりやすく伝えることで応募意欲につなげたいと考えています。
【目的】
・営業職のやりがいや成長環境を前向きに伝える
・新卒の応募者に「挑戦してみたい」と思ってもらう
【条件】
- 文字数は300文字以内
- 専門用語は避け、学生でも理解できる表現にする
- 明るくポジティブなトーンで、キャリアの成長を強調する
【依頼内容】
上記を踏まえて、魅力的な求人票の文案を作ってください。
**◎ 例② 面接質問のたたき台
中途採用面接で営業職応募者に質問する例を作成してください。
【背景】
営業経験者を採用するにあたり、面接で「行動力」「営業スキル」「課題解決力」を具体的に確認したいと考えています。
【目的】
・応募者の実務スキルを見極める
・応募者の営業姿勢や行動特性を引き出す
【条件】
- 質問は5つ
- STAR法(状況・課題・行動・結果)を意識した質問にする
- 実体験を語ってもらえるようにオープン質問形式で書く
【依頼内容】
上記を踏まえて、営業職の中途採用面接で使える質問例を5つ提示してください。
◎ 例③ メール文案の作成
内定通知メールの文案を作成してください。
【背景】
内定者に安心感と期待感を持ってもらい、入社意欲を高めたいと考えています。堅すぎず親しみやすい表現を希望しています。
【目的】
・内定決定の事実を正確に伝える
・入社を歓迎する温かい気持ちを伝える
・読み手が安心して次の行動(返信・手続き)に移れるようにする
【条件】
- 社会人としてのフォーマルさは維持するが、言葉はやわらかく
- 長すぎないシンプルな文章
- 感謝と歓迎の意を含める
【依頼内容】
上記を踏まえて、内定通知メールの文案を作ってください。
【ポイント】
AIには「何を、どんな目的で、どのくらいの長さで」など、具体的な条件を伝えることが非常に重要です。
「なんとなくの質問」では、なんとなくの答えしか返ってきません。
質問力=AI活用力とも言えるのです。
◆ 3. 出力された答えのチェック法
質問の工夫だけでなく、答えのチェックも必須です。
次の2段階チェックを習慣にしましょう。
【チェック① 事実確認】
- AIが出した情報が本当に正しいか、必ず調べる
- 公式サイトや信頼できる情報源を確認する
- 特に数字・法律・資格・制度名は、細心の注意が必要
【チェック② 目的への適合確認】
- その答えが、自分の目的や文脈に合っているかを見極める
- 求めているトーンや方向性に沿っているかを確認する
- 「このまま使ってよいか」を自分で判断するクセをつける
◆ 4. まとめ:AIを使いこなす力が、これからの必須スキル
AIを使う上での心構えは、とてもシンプルです。
- AIは相談相手。最終判断は必ず自分で行う
- 質問力を磨けば、AIの答えの質も上がる
- 必ず事実確認と目的確認をする
これらを習慣にすることで、
AIを「危ない道具」ではなく「頼れるパートナー」として使いこなせるようになります。
これからの人事の現場では、
「AIを正しく使いこなせる人材」が、ますます求められるでしょう。
次章では、「AIの出力結果に責任を持つ力」をさらに深めるため、
ケーススタディを通じて「実践力」を磨く方法を学びます。