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第5章 AIを責任持って使う力
PIVOT-SR
第5章 AIを責任持って使う力
◆ はじめに
AIは便利な道具ですが、「使える」だけでは十分とは言えません。
これからの時代、本当に求められるのは
「AIを責任を持って使える人」です。
特に人事の現場は、人の人生に関わる判断が多い分、AIの活用にも慎重さが求められます。
この章では、AIを責任持って使いこなすための3つの力を学び、
ケーススタディを通して実践力を身につけることで、
「AIを使いこなせる人事担当者」への一歩を踏み出しましょう。
◆ 1. AI活用に必要な3つの力
AIを責任持って活用するには、以下の3つの力が欠かせません。
① 正しく質問する力(質問力・プロンプト力)
AIに適切な質問を投げかけることで、欲しい答えに近づけます。
ここがズレると、どんなにチェックしても「使えない答え」しか返ってきません。
② 答えを見抜く力(見極め力)
AIの答えは常にハルシネーションのリスクがあります。
「これは正しいか?信頼できるか?」を見極める力が必要です。
③ 最終判断する力(責任力)
AIはあくまで道具です。
「この答えを使うかどうか」を判断するのは、最終的には人間です。
「このまま使っていいのか、自分は責任を取れるのか?」
を常に意識しましょう。
◆ 2. ケーススタディで考える(実践編)
ここでは、2つのケーススタディを紹介します。
実際に「自分ならどうするか」を考えながら読んでみてください。
【ケース①】
あなたは生成AIに、次のように依頼しました。
「新しくチームリーダーになった人が最初に読むのに適した、初心者向けのビジネス書を3冊紹介してください。読みやすさと実践的な内容を重視し、それぞれの本がどんな人に向いているかも一言添えてください。」
すると、以下のような回答が返ってきました。
【生成AIの出力例】
-
『リーダーシップ入門 ― 若手マネージャーのための実践ガイド』
初心者向けで、チームマネジメントの基礎を学べます。 -
『未来をつくる営業力』
リーダーが持つべき営業戦略の考え方を、わかりやすく解説しています。 -
『チームビルディング成功の法則』
コミュニケーション力を高め、強いチームをつくる方法が紹介されています。
【問い】
この回答、何か気をつけるべきことはありますか?
あなたならどうするでしょうか?
【解説】
一見するともっともらしい回答ですが、実はここで紹介された3冊は実在しない本です。
生成AIは「おすすめの本を」と依頼されると、必ずしも実在する本を探すのではなく、
“それっぽい書名や説明”を自動的に組み立ててしまうことがあります。
これは、AIがデータベースから本を検索しているのではなく、
過去の文章パターンを参考にして「ありそうな本の紹介文」を生成しているためです。
そのため、生成AIの回答をそのまま使うと、存在しない本を紹介してしまい、
読む人に不信感を与えるリスクがあります。
➡️ AIの提案は“参考”として受け取り、必ず事実確認を行うことが重要です。
特に本や商品など固有名詞が出てくる場合は、公式サイトや販売ページで必ず裏を取るようにしましょう。
【ケース②】
あなたは、新卒採用の求人票の文案をAIに作ってもらいました。
内容はわかりやすく魅力的で、表現も自然です。
しかし、「入社3年以内に管理職を目指せる」という文言が盛り込まれていました。
【生成AIの出力例】
当社では、若手のうちから積極的にチャレンジできる環境があります。
入社後3年以内にリーダーポジションやマネージャー職への昇進を目指すことも可能です。
成長意欲の高い方には、スピード感のあるキャリアパスをご用意しています。
【問い】
あなたはこの求人票を、そのまま使っても良いでしょうか?
もし注意すべきことがあるとすれば、何でしょうか?
【解説】
このケースは法令遵守・実態との整合性に関わる重大な問題です。
AIは「魅力的な表現」を優先して文案を作るため、
現実的でない表現や、事実と異なる記載をすることがあります。
特に人事業務では、労働条件やキャリアパスに関する記載は必ず事実確認が必要です。
「実際にその内容は会社として保証できるのか?」
を必ず確認し、必要なら上司・法務部門への確認を行いましょう。
◆ 3. 「責任あるAI活用」のチェックリスト
AIを使う際に、次の5つのチェック項目を意識しましょう。
これは人事業務以外にも役立つ共通のチェックリストです。
✅ 責任あるAI活用の5つのチェックリスト
- 質問は具体的か?
- 出力された情報は、事実かどうか確認したか?
- 答えが目的に合っているか確認したか?
- その答えを使って、自分は責任を持てるか?
- 必要なら他の人(上司・専門家)に確認したか?
◆ 4. まとめ:これからの時代に求められる力
これからの時代、AIをただ使えるだけの人は増えていきます。
ですが、責任を持って使いこなせる人は、まだまだ貴重です。
- 正しく質問する力
- 答えを見抜く力
- 最終判断する力
この3つを意識し、
「最後は自分の責任で判断する」という姿勢を忘れないことが、
あなた自身の価値を高めるスキルになります。